ほのぼの・ギャグ・シリアスを交えて主人公総愛されです。ゲームのネタバレ含みます。ご了承の上、閲覧下さい。 初めての方は、「はじめに。」を御覧下さい。
31 . March
ホント久しぶり過ぎる更新ですよね;;放置し過ぎで見放されてますかね。

小説更新ではなくてすみません。

久しぶりにテイルズシリーズやったので萌え語りしたい故の更新です。

Will持ってるのでグレイセスにやっと手をつけました。

久しぶりに来ましたね・・・ツンデレvv
ヒューに萌えまくってます。リオン坊ちゃん以来の激しいツンデレなんですもん♪たまらん☆
リオン坊ちゃんの場合はスタンや他の人にツンでマリアンにだけデレだったのに対して、ヒューはお兄ちゃんに対してのツンデレ!!それってめちゃ萌えるvv
やっぱり一人に対してツンデレってのか良い!!それでこそツンデレv

でも初めにCPに萌えたのはやっぱり王子兄でした。
幼少リチャードが可愛い。頑張って守るアスベルも可愛いvv
二人はラブラブ過ぎるねvパスカルにいちゃいちゃ言われても仕方ない(笑
王子はアスベルを特別視しすぎなんだよvv王子崇拝者の騎士さんいたら絶対アスベルに嫉妬ですよね。
アスベル大変だ;;二人とも無自覚っぽいし;;
何故相手が怒っているのかも理解出来なさそう。

しかし、それ以上に一番萌えCPは教官兄!!うん、マイナー大好きだから仕方ない☆
ってか、JLレベルの犯罪年齢差ですよね!見た目年齢だったらJLよりヤバイです。
でもなんか萌えるんですよね。教官が飄々親父なのが悪い←
アホ神子とか死霊使い殿とか雨の日無能な大佐とか上忍案山子とか飄々とした人大好きなんですよね。

ツンデレは萌えだけど、飄々は好きv

テイルズ主人公の王道無自覚純粋総愛されの皆さんと絡むのは飄々な年上が良いv
一番面白さが有りますよね。年上ズを真剣モードに変えればシリアスも出来ますし、一番ネタが浮かぶCP。
それなのに・・・なんでマイナーなんだぁ!!もっと皆さんの小説読みたいです。

あ・・・今回珍しくヒロインとヒーローがカプじゃないですね。アスシェリなエンドだったし。
でもソフィアスのが好きです。ソフィが可愛すぎる。純粋ちゃん良いよ。
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28 . August
-10-


「って、食べ物なんもぬぇーじゃん」
「いや〜、家で食事を取ることが滅多に無いもので」
手伝いをしようと手を洗ってから、冷蔵庫を見たら調味料とお酒のツマミになりそうな食べ物しか入っていなかった。
責めるようにジェイドを見たら、ハハハと笑って返された。
「仕方ありませんね、まだ早い時刻なので食材を買いに行きましょう」
笑って許されるものかと睨み続けたら、悪びれなく言われた。
「折角ですから、一緒に行きましょう。着替えて来ますので待っていて下さい」
ベラベラとノンストップで人の意見を聞くこともなく、ジェイドは去って行った。
「勝手過ぎだろ」
尤もな意見を口にしながらも、俺はワクワクしていた。
【機嫌が良いな】
(だってジェイドにとって俺は初めての相手なのに、側に置いてくれるんだぜ?)
アイツは表面上では親しく見えても、実際は上手く距離を置くのが得意だ。
そのジェイドが態々誘うってのは凄く貴重な事なんだ。
(これ以上嬉しい事なんてあるかよ)
それだけ言うと、俺も玄関へ向かった。



「さて、アンデシン、何が食べたいですか?」
「へ?俺が決めて良いのか?」
食材を眺めたまま問われて、一緒に見ていた俺は驚いて視線を向けた。
「そうでなければ連れてきた意味が無いでしょう」
ジェイドも俺に視線を向けて、何を言っているんだと顔で訴えた。
「まじで?ぢゃあチキン食べたい」
「ではソテーとサラダ、スープといった所ですね」
ジェイドは頷くと再び食材に視線を戻した。
「あ、ニンジンいらね〜」
「ニンジンは嫌いですか。でもグラッセは彩りとして重要な存在です。それに、好き嫌いが有っては身長伸びませんよ〜」
ニンジンを手にしたジェイドに空かさず言うと、ニヤリと不適に笑われた。
そしてやっぱり馬鹿にされた。
「俺はチビじゃぬぇ〜!」
「はいはい。しかし私の子で有るからには好き嫌いなどさせません」
腕を振り回す俺を避けて、ジェイドはニッコリと笑った。
(私の子!)
当たり前の様にさらりと言われて、俺はピタリと固まった。
「というわけでニンジンのグラッセとニンジンがたっぷり入ったサラダにしましょう」
「嫌だ〜!!」
ニンジンをカゴに入れて歩き出したジェイドを、我に帰った俺は止めようと叫んだ。







私の子になるのなら好き嫌いは赦しません(by ジェイド)

 
 
 
 
 
 
-11-


無理矢理ニンジンを食べさせられグロッキーになってた俺を、ジェイドは遠慮する事も無く、持ち上げるとバスルームへ連行した。
「生憎貴方のサイズに合うパジャマはありませんから、私のを折り曲げて着てください」
ぺいっと俺を脱衣場に放って出ていった。
「相変わらず容赦ねぇな。鬼眼鏡」
気配が無くなったのを確認してから悪態をついた。



「ふい〜、すっきりした」
風呂に入って気分がさっぱりした俺は髪を拭きながらリビングへ入った。俺って単純。
「アンデシン、折り曲げて着なさいと言ったでしょう。それでは転びますよ。それに下を履きなさい」
「アンタのがでかすぎるんだよ!ズボンも履いたけど、直ぐにずり落ちたっつーの!」
溜め息を吐いてから注意をしてきたジェイドを、俺は思いっきり睨んだ。
「ああ、すみません。そこまで小さかったとは思いませんでした」
「あ〜!!ムカつく〜!!」
ハハハと乾いた笑いをされて、地団駄を踏んだ。
「ま、冗談はさておき、明日服を買いに行きましょう。それでは余りにも酷すぎる」
「明日ってまた早く帰って来るのか?」
腕を曲げてやれやれと肩を上げた言ったジェイドに、先の言葉より後が気になって話題を変えた。
「いえ、休みを頂きました」
「えぇ!?」
ニッコリとキッパリ言い切ったジェイドに俺は驚いて目を見開いた。
「養子縁組をくむにあたって、やはり陛下に説明しなければ始まりませんから。勝手に話していまい申し訳ありませんでした」
「別に謝ることじゃ無いって。俺よりアンタの方が・・・」
頭を下げたジェイドの顔を窺う事は出来なかったけど、きっと辛かったに違いない。
「いえ、此れは私の罪です。私は責められて当然なのですよ」
顔を上げたジェイドは苦笑した。
(この頃からアンタは罪を認めて受け入れていたんだな)
「俺はレプリカだ。だからって隠す気は無いよ。俺は俺だから」
「そうですか」
ニッと笑って答えたら、ジェイドはホッと息を吐いた。
「で、俺の事と休みがとう繋がるんだ?」
「ああ、陛下曰く「ソイツは何も持たずに来たんだろう?」
と聞かれ、頷いた私に「お前が自分の子と認めるからには、しっかりと育ててやらんとな。
それが親の責任ってもんだ。つー事でまずは生活必需品を一緒に揃えてやれ」
と言われ休みになりました」
経緯の説明を聞いて、陛下は昔も今も変わらないんだなと思った。
「なるほど」
「なので必要だと思うものを考えておいてください」
ジェイドはそお言いながら、ソファーにブランケットを被せた。
「さて、明日は朝から外に出ますから休みましょう」
「うん、わかった」
俺は明日の事を思ってワクワクしながらソファーに近寄った。
「何故こちらに来るのです?」
「へ?俺は其処で寝るんだろ?」
眉を寄せて訪ねてきたジェイドに、俺は首を傾げた。
「違いますよ。生憎客室など用意はしていませんから、貴方は私の寝室で寝ていただきます」
ジェイドは立ち上がると俺の横を通り過ぎて、案内する為に寝室へと足を向けた。
「はあ?俺は此処で良いよ。アンタが此処で寝るには足が余るだろ」
俺はジェイドの腕を掴んで動きを止めた。
「貴方は「俺は客人じゃない。もう・・・父さんの子供なんだろ?家主がソファーで寝るなんておかしいだろ」
言葉を遮って俺は父と呼ぶのが恥ずかしくて、赤くなった顔をジェイドの背中で隠しながら言った。
「!!そうでしたね。では、お言葉に甘えさせて頂きますよ」
ジェイドは俺を気遣ってか、前を向いたまま応えた。
「うん。おやすみ」
「はい、おやすみなさい」
離れた俺に振り返ったジェイドは、軽く俺の頭を撫でるとリビングをあとにした。
「よし!明日から頑張るぞ」
その行動に治まった熱が復活してしまった顔を両手で叩いた。
こうして生まれてからの長い一日が終わった。

歯車は狂い出したんだ。






出会い編終了です。次の章は陛下を出したいです。

 
 
 
 
 
 
 
 
-12-


次の日、俺たちは予定通り、生活必需品を買い揃える為に町に出ていた。
先ずは昨日から着ている服をどうにかしようと子供服屋に来ていた。
「これなんかどうですか?」
「あ、恰好良いかも」
店で自ら選んで買うことが初めてだった俺は、キョロキョロと忙しなく辺りを見ていた。
ジェイドはそんな俺を放置して、服を選んで持ってきた。

「どお?」
「とてもお似合いですよ〜」
着替えて出てきた俺に返ってきた声が想像と違って、顔を上げるとジェイドの隣に女の店員が居た。
発信源は彼女らしい。
「そうですね、似合ってますよ」
ジェイドは全身を見てから頷いた。
「そっか。じゃあ此れにする」
「では、此のまま着ていくので会計をお願いします」
「はい、有り難う御座います」
店員はジェイドの顔を見て赤く頬を染めてからゆっくりとお辞儀をした。
「むう」
「ん?どうしたのですか?」
先にレジへ向かった店員の背中を見ながら、頬を膨らませた俺に、気付いたジェイドが声を掛けてきた。
「別になんでも無い」
前は仲間兼友人で、今は義息子なんだ、俺に嫉妬する資格はない。
「変な子ですねえ」
俺の気持ちに気付いていないジェイドは軽く眉を寄せてから、先に進んでいった 俺の後に付いてきた。




「さて、家具は家に送ってもらいますし、小物も揃ったと思いますが、他に有りますか?」
お昼や休憩を取りながら買い物をし続けて、今は日が沈もうとしていた。
「ん〜・・・あ、ノートとペンが欲しい」
昨日は無かったから出来なかったけど、また日記をつけるつもりだった。
「文字の勉強ですか?」
「ちっげーよ!もう書けるっつーの!日記だよ、日記」
真顔で訪ねられて俺は地団駄を踏んだ。
「すみません。生活基準は全て満たしているのですね」
ジェイドは謝ってから、ふむと顎に手を置いた。
(そういやそこんとこの説明全然してなかったな)
「俺もごめん。でも文字が書けるだけで、後は全然だから勉強もしたいんだ」

俺も謝って自分が思っていることを口にした。
「勉強ですか」
「うん。音素の事や、世界の歴史、後・・・フォミクリーの事も」
俺には知らなければいけない事がたくさんある。
「専門書でしたら私の家にありますが、基礎の資料は本屋や図書館ですかね」
「図書館か、父さんが働いている間そこで勉強していい?」
場所さえ分かれば一人でいくらでも勉強が出来る。
「なにもしないで家にいるよりは有意義ですね。許可しましょう」
俺の数秒考える素振りを見せてから頷いた。
「やった。じゃあノートとペン買って帰ろうぜ」
「そうですね」
両手に持っている袋を振り回しそうな勢いで歩き出した俺の後で、ジェイドがクスリと笑ったのが聞こえた。


「そうでした。図書館に行くのは明後日からにして下さい。明日は陛下に会っていただきます」
「・・・えぇ!?」
今思い出したという様に軽く言われた科白に、俺は吃驚して持っていた袋をドサリと落とした。











父子ではじめてのお買い物です。次はやっと陛下登場です。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
-13-


「よ〜、やっと来たな」
「・・・」
前の旅で初めて会った時と同じ表情をしている陛下に、俺は苦笑を浮かべた。



此処まで来る間、俺はずっと陛下に会うことを渋っていた。
「アンデシン、いい加減に諦めなさい。軍人の息子を謁見させようとする陛下も陛下ですが、貴方は異例な存在です。
あの方が気になるのも仕方ないですからね」
トロトロ歩いていた俺を振り返って、ジェイドはやれやれと溜め息を吐いた。
「異例なのはわかってる。でも・・・」
(あの人は苦手なんだよ〜!)
ソレを言ったら何故陛下を知っているのかと、尋問タイムになりそうで答えられない。
「何故そこまで嫌なのか分かりませんが、問答無用ですv」
「へ・・・うわぁ!」
下を向いていた俺は、目の前にジェイドが来た事に気付かず、言葉通り俺の気持ちを一切無視して、軽々と小脇に抱えた。
「父さんの鬼畜眼鏡〜!!」
「ハハハ、コレもお仕事ですから」
バタバタと手足を振って叫んでいる俺をものともせず、ジェイドは軽々とした足取りで、陛下の居る宮殿へ歩いて行った。



「ん?だんまりか、口が利けない訳じゃ無んだろう?」何故こんな事にと、先ほどの事を思い出していた俺に、陛下がまた話し掛けてきた。
「あ、すみません」
陛下の声で我に還った俺は、ハッと前を向いて謝った。
「ジロジロと見られて緊張してるんですよ」
無理矢理連れてきた事に少し罪悪感が有ったのか、ジェイドが珍しくフォローを入れてくれた。
「だって、いくら責任を感じてるからって、お前が態々養子にした子供だぜ?気にならん方がおかしいってもんだ」
ハハハと陛下は軽快に笑った。
「全く。アンデシン、挨拶をしなさい。このままだと帰れませんよ」
ジェイドは軽く頭を押さえて溜め息を吐いた。
「う、うん。アンデシン・カーティスです。マルクトに住むことを認めて下さって有り難う御座います」
ジェイドに向かって頷いてから、陛下に向き直り頭を下げた。
「んな堅苦しい挨拶なんていらねーよ。ジェイドの子は俺の子だ。子供らしく話せばいい」
陛下はニカっと笑って見せた。
「屁理屈言わないで下さい。アンデシンが戸惑ってますよ」
どう反応をしたらいいのか悩んでいたら、ジェイドが代りに応えてくれた。
「そっかあ?でもその方が楽だよな〜、アディ」
首を傾げて、方眉を上げてジェイドの言葉を否定してから、俺にまた微笑んだ。
「?アディ?」
「そっ、アンデシンって長いし言いにくい。だから愛称だ。気に入らないか?」
違った呼ばれ方をしてキョトンとした俺に、陛下が説明をした。
「そんなこと、あ、ありがとう」
ルークの時は愛称なんて無かったから、嬉しくて首を横に振ってから、笑ってお礼を言った。
「ん〜、可愛いなぁお前。本気で俺の子供になるか?」
「陛下」
にこにこと笑って言った陛下に、同じくにこにこと似非笑顔でジェイドが注意した。
「はいはい。冗談だっつの」
ドスの利いた声に陛下は両手を上げて、眉を寄せた。
「ま、遊びは此までにしてと」
スッと真剣な声と顔に変わって、俺を見つめた。
「ジェイドにも聞かれたと思うがもう一度質問に答えてもらいたい」
その言葉で陛下は本当に国のみんなを大切に思っているんだと思った。
「はい、俺が覚えている事なら」
だから俺もその想いに応えたくてしっかりと頷いた。




やっと陛下登場です。ゲームでもあまり出番が無かったんで、口調が難しいです。

 
 
 
 
-14-

「疲れた〜」
次々と質問を被せられ、何処まで話したら良いか頭をフル回転させて答えた俺は、精神肉体共々ヘトヘトになっていた。
「ご苦労様です。しっかりと答えられましたね〜」
謁見の間を共に出てきたジェイドが俺の頭を撫でた。
「だー、子供扱いすんなっつーの!」
腕を振り回して抵抗をする俺を見て、ジェイドは楽しそうに笑った。
「0歳児なんですから、十分子供・・・というより赤ん坊ですね」
「うっせー!」
俺に視線を合わすようにしゃがみながらにっこりと笑われ、言い返しが出来ない俺は顔を背けた。
「ファブレ公爵家ご子息の肖像画が有りましたので確認をとりましたが、瓜二つでした。
間違いなく貴方はルーク・フォン・ファブレのレプリカのようですね」
笑顔から一転して、真剣な表情でジェイドは俺を見つめた。
「信じて無かったのかよ」
俺は視線を逸らしたまま言った。
「いえ、曖昧な部分が多かったので、被験者について調べたかった事もありますし」
「そうだ!アッ、ルークは無事なのか?ちゃんと家にいる?」
ジェイドからアッシュの事を口にされて、俺は超振動でアイツを父上達の所へ送った事を思い出した。
ローレライがやってくれたから、間違いは無いと思うけど。
「公にはされていませんが、やはり行方不明になっていた様ですね。今は屋敷に戻っているそうです」
(公にはってどうやって調べたんだよ)
相変わらず恐ろしいヤツだよ。
【我を信用していなかったのか?】
ジェイドの言葉に軽く一歩引いている俺の頭に、不満そうなローレライの声が響いた。
(いや、信頼してるよ。でもやっぱ大切な奴だから心配になってるっつーか)
フォローしようにも上手く説明が出来なくて戸惑った。
【ふぅ、わかっておる】
あたふたしている俺を見越してローレライが軽くため息を吐いた。
(ごめん。アイツって本人絶対嫌がると思うけど、俺にとって唯一の肉親みたいなもんだからさ)
【我もお前の父親のつもりだ】
だから大切なのだと言おうとしたら、ローレライがムッとした声で遮った。
(あ、そっか)
セブンスフォニムの塊の俺はローレライの子でもあるんだなと納得した。
【だからそこにおる奴にも我は負けん】
身体が有ったら挑戦状でも叩きつけそうな勢いで言うローレライ。ジェイドに嫉妬してたんだ;
(ローレライも俺にとって大切な存在だよ)
俺の計画を実現させる為のパートナーなんだからな。
【ならいい】
俺の言葉に納得したローレライは気配を消した。
「ならよかった。でもわざわざ公爵子息を攫うなんて、一体俺の被験者は何者なんだ?」
ジェイドの考えが知りたくて、何も知らないフリをして尋ねた。
「何者かは分かりませんが、貴方の言う通り大物をあえて攫う程です、秘めた力を持っているはず・・・貴方は何か感じませんか?」
「へ?」
質問を返されて俺はポカンと口を空けた。
「ああ、生まれたばかりの貴方に問いかけてもわかりませんよね、失礼」
「いや、力になれなくてごめん」
訳が分からなくて唖然としていたと勘違いしたらしいジェイドは俺に謝ってきた。
虚を衝かれて戸惑っていたんだけど、誤解してくれて助かった。
「話を戻しますが、”聖なる焔の光”なんて大それた名前です。それ相応の力を持っているのでしょう。しかし、極秘の情報を攫った者達は何処で知ったのかですね。・・・秘預言に詠まれている可能性も否定できないか」
こんな少ない情報で色々な可能性を推測出来るジェイドに、やっぱり此処に来て良かったと思った。
「えと、せいなるほむらのひかりって何??」
古代イスパニア語を勉強したくて、俺は知らないフリをした。
「おや、フォニック言語しか分からないのですね。”聖なる焔の光”とは遥か昔に使われていた古代イスパニア語で”ルーク”を意味するのですよ」
若干面倒そうな表情をしながらもジェイドは細かく説明してくれた。
「そうなんだ。でもなんて昔の言葉を知っているんだ?みんな知ってる事なのか?」
「そうですね。普段使用する言語では有りませんが、大半の人が知っていると思いますよ」
だよな〜。たぶん俺もフォニック言語が早く覚えられたら教わってただろうし。
「じゃあ俺も覚えたい」
これからの事を考えると結構重要な事だと思うんだよな。
「古代イスパニア語はフォニック言語と同じ文法で違う発音をします。
つまり間違った覚え方をして混乱してしまう可能性も有ります。それでも習いますか?」
「うん。頑張るからやりたい」
以前の旅でもジェイドに言われた事だ。でも、今度は皆のお荷物にはなりたくないんだ。
自分で出来る事はなんだってやりたい。
「わかりました。辞書は家にありますので、ゆっくりでもいいですから正確に覚えていきましょう」
ジッと俺の顔を見てからジェイドは首を縦に振った。
「有難う、父さん!」
満面の笑みを浮かべて俺はお礼を言った。
「どういたしまして。さて、私は執務に戻りますので、貴方は家に帰りなさい」
「はーい」
微笑んで軽く手を振るジェイドに、俺は大きく左腕を振りながら家へと踵を返した。



アッシュはローレライの力により無事に帰還しました。

 
 
 
 
-15-

家に帰った俺は、口にはマスク、手にはたきを持って空き部屋の前に立っていた。

ガチャ・・・バタン

「うん、予想以上の埃っぽさだ」
ドアを開けた途端にむわっと白いものが散ったのを見て、閉めたくなるぐらいに。
「・・・よし、行くぞ!」
深く息を吸って止めると、勢い良くドアを開けて、窓へと全力疾走した。





「あ〜やっと終わった」
掃除なんてしたことが全く無かったのに、いきなりワンランク上の大掃除という無謀な事をしたけど、頑張ればなんとかなるもんだな!
窓から差し込む夕日を見ながら、手が黒くなっているのを忘れて、汗が出ている顔を拭った。

コンコン

「随分綺麗になりましたね〜」
ノックと共に、いつの間にか帰っていたらしいジェイドの声が空き部屋に響いた。
「へへへ、頑張っただろ!」
「本当に頑張りましたね」
ジェイドは部屋に入ってくると、胸を張っている俺の頭をポンポンと優しく叩いた。
(うわっ、笑ってるよ)
優しい笑みで頭を触られ、俺は思わずポカンとジェイドを凝視した。
「おや、何故そんなに驚いているのですか?」
自分のした表情に気づいていないのか、ジェイドは首を傾げた。
「ん〜ん、なんでも。ただ褒められるとは思わなかっただけ」
「貴方の中で私はどれだけ酷い男なのですか」
指摘したら表情をいちいち気にして笑わなくなりそうで、俺は嘘をついた。
ジェイドは俺の発言が気に入らなかったのか、眉を寄せて軽く俺の頭を押した。
「手厳しいおっさん?」
「手厳しいは否定しませんが、おっさんではありませんよ。まだ私は20代です」
疑問系で答えたら、ジェイドはニッコリと笑って俺の頬を摘むと伸ばした。
「いひゃいいひゃい」
バタバタと両手を動かして抵抗するが、依然として手の力は緩まなかった。
「ごめんなさいは?」
「ごめんひゃはい」
顔を近づけてきたジェイドに、俺は頬を伸ばされたまま降参して謝った。
以前と変わらないやり取りだったからすっかり今のジェイドが、まだ28歳だった事を忘れていた。
(でもやっぱ前より表情は豊かかも・・・7年間に一体どんな心境変化があったんだ?)
満足そうな表情で手を外したジェイドを見上げて、俺は思わず首を傾げたのであった。

「さて、おふざけは此れまでにして、夕食の準備をしましょうかね」
「あ、俺も手伝う」
クルリと踵を返して部屋を出るジェイドに、頬を擦っていた俺は慌てて追いかけた。
「いえ、今日は私だけでいいですよ。ずっと掃除をしていて疲れたでしょう。リビングで休んでいなさい」
ピタリと歩くのを止めて振り返ったジェイドは、駆け寄ってきた俺の頭を軽く撫でた。
「・・・ありがとう」
にっこりと微笑まれ、頭を撫でられた俺は大人しくジェイドの言葉に従うことにした。
(なんか優しいジェイドって違和感あるな〜)
でも、胸がポカポカして凄く嬉しい気持ちになった。





おっさんと言われてムッときた大人気ない28歳。


 
 
 
 
 
-16-
ジェイドの作った夕食を食べて、ちょっと休憩してから、届いた家具達の設置をした。
「さて、漸く人の住む環境になりましたね」
ベッドのシーツを整えてから、ジェイドは軽く息を吐いた。
「わー、完成。疲れた〜」
大掃除をして体力を消耗しまくった俺はバタンとベッドに倒れ込んだ。
「アンデシン、そのまま寝ては汚いですよ。先にお風呂に入って来なさい」
うとうとし始めた俺を見て、ジェイドは溜め息を吐いてから、俺の肩を揺すった。
「うぅ〜、眠い」
「わかってます。だから早くお風呂に入って寝なさい」
ジェイドの手を外そうと肩を揺らした俺に、さっきよりも幾分か強い声が上から発せられた。
「ん〜」
ちょっと怒り始めているのは分かっているけど、体が重たくて起き上がれなかった。
「仕方ないですねぇ」
「!!うぇ!?」
大きな溜め息が聞こえたと同時に、体が浮き上がった。吃驚して目を開けると、ジェイドの顔が直ぐ横に有った。
(また俵担ぎされてる!?)
後ろを向くと、腰にぐるりと腕が回っていて、暴れない様にしっかりとホールドされていた。
「以前も思ったのですが、軽いですね〜。もっとご飯たべましょうね」
喋りながら軽快に歩くジェイドに、俺は昼間の出来事を思い出して、抵抗するのを諦めた。



風呂場まで持ち運ばれ、脱衣場に放られた。
「さぁ、お湯ははって有りますからさっさと入って来なさい」
言い終わると同時にジェイドは扉を閉めた。
「うぅ〜」
睡魔に襲われながら、よたよたと服を脱ぎ始めた。





チャポン





「は〜、生き返る〜」
風呂の端を掴んで浮かびながら、大きく息を吐いた。
【慣れない事をしたからな】
ローレライが労る様な声で話し掛けてきた。
(だよな〜。本当に頑張ったよ、俺)
バシャバシャと足を動かしなら応えた。
【行儀が悪いぞ】
(ローレライ小言親父っぽいぞ)
注意をされてばた足を止めた俺は、頬を膨らませてから息を吐いてブクブクと泡を立たせた。
【ルーク、汚い】
(煩いな〜、休息を取ってる時ぐらい説教止めてくれよ)
ザバッと大きな音を立てて立ち上がると、風呂場から出た。



「早かったですね。ちゃんと温まりましたか?」
「あ〜、お前もかよ」
リビングを通りすぎて部屋に向かおうとした俺にジェイドが声を掛けてきて、小言を連続で言われて不満の声を漏らした。
「「お前も」とは?」
「なんでもない。お湯が温かい内に入れよ」
眉を寄せて訪ねてきたジェイドの言葉を軽く流すと、急ぎ足で部屋へ戻った。





W親父に小言を言われて八つ当たり。
ローレライは以前と同じく【ルーク】呼びです。

20 . August
※タイトル通り逆行ジェイドです。逆行+いきなりネタバレですが、ジェイドレプリカ化です。
そんなありえない提造ですが、それでもOKな方は、スクロールして下さい。





















どんな形だっていいんです。もう一度貴方に会いたい・・・。
 
 
 
 
「・・・!!目を覚ましましたね。貴方は誰だか分かりますか?」
「!何故はな垂れが私の前にいるのです?」
私が病院で死んだ時コレは居なかったはず。それに明らかに見た目が若すぎる。
「ムキー!誰がはな垂れですか!!全く呼び方まで被験者と似なくとも・・・」
怒鳴ってから、ぶつぶつと不満を口にした。
「今、なんと言いました?被験者とは?」
呟きを遮って私ははな垂れに尋ねた。
「そんなの貴方の被験者、ジェイドの事に決まっているでは有りませんか」
当然の様に言い切られた言葉に、私はらしくもなく目を見開いた。
「!!私は・・・」
「自分がどんな存在か理解できた様ですね。流石はジェイドのレプリカなだけ有りますね」
私の最高傑作品です。とお得意の自画自賛を口に出し始めたはな垂れを無視して、私は状況を把握する為に、脳内をフル回転させた。
「サフィール、貴方は何歳ですか?」
「唐突ですね。今年で31歳になりますよ」
私の問いにベラベラと話していた口を閉じ、不満そうに眉を寄せて睨んでから答えた。レプリカ相手でも、見た目が【ジェイド】のせいか、素直に応えてしまうらしい。
(しかし、31歳ですか。・・・まだ間に合いますね)
あの子が大爆発を起こして戻ってきた年から、私は2つの実験をし続けていた。瘴気の浄化と大爆発の回避。
今更と思いながらも、頭が手が止まらなかった。
(まさか、こんな形で役に立つとは!)
原理などどうでも良い。またあの子に会える。
(今度こそ間違った選択などしない)
私はグッと小さく拳を握った。
 
 
 





はな垂れは一応六神将なだけあって、長期任務を言い渡され出掛ける事もしばしあった。
ヴァンに無断で作ったらしい私は、ヤツの研究室のみ行動の自由が許されていたため、かえって都合が良かった。それに4年もの時間が有る。
2つの装置が出来るまでは、その事に集中出来ていたが、準備が終わった年月は彼が居なくなってから過ごした日々より辛く感じた。直ぐにキムラスかに向かえば会えるというのに、あの日を待たなければならない。
 
 
 
 
 
 
 




 バンッ!

「キー!全く忙しい私に子供の迷子探索などと、くだらない任務を押し付けましたね!許しませんよ、ヴァン!モース!」
そもそもヴァンの作戦には必要らしいですが、何故六神将全員で・・・、大きな音を立てて扉を開けたはな垂れは不満をだらだらと口にする。
そう、とうとうこの時が来た。
「サフィール、何故六神将がわざわざ子供の相手を?」
「え、ああ子供とは導師の事ですよ。正確には導師イオンのレプリカですけどね」
私の問いにはな垂れは、さらりと重要機密を洩らした。
本当に何故コレが六神将などという地位にいるのでしょうかねぇ。
「導師イオンのレプリカですか」
「おや、流石の貴方でも同じレプリカに興味が有りますか?」
私の呟きを予定通りはな垂れは拾って反応した。
「私以外のレプリカですからね。気になりますよ」
「・・・まあ、貴方が是非とおっしゃるのなら連れて行ってもいいですが」
視線をわざと逸らした私に、はな垂れは嬉々として提案してきた。
(こんな手に引っ掛かるとは、どの世界に居ても貴方はジェイド馬鹿なんですね)
いっそ憐れだと私らしくもなく、はな垂れなどに同情しそうになった。
「【是非】」
と、棒読みでも笑顔を作ってる言った。
(ま、私は利用している立場なのでそれも変なのですけどね)
陽気な足取りで外出準備を始めたはな垂れを見て、口元を軽く上げた。
 

 
 
 「譜術士用の軍服です。カスクを被れば紛れ込めますよ」
他の人間に知られる訳にはいかないので、はな垂れは私用に神の盾の軍服一式を持ってきた。
「武器は扱えないでしょうが、持っていて下さい」
軍支給の槍を私に掲げて見せてから、軍服の隣に置いた。
「直ぐにでも導師探索に向かうそうです。早く着替えて下さい」
「わかりました」
とうとうこの時が来た。もう少しで会えますよ、ルーク。
 

 
 
「導師を拐ったのはマルクト、指揮官は貴方の被験者です。タルタロスに奇襲をかけるそうですが、参謀のシンクが六神将は4人でいいと言ったので、我々は待機になります。なのでセントビナーに向かいますよ。ああ、シンクも導師イオンのレプリカなので・・・って、人が折角説明をしているのに勝手に歩き回らないで下さい!」
知っている事をつらつらと喋られても、興味がわくはずもなく、まだ崩落する前の綺麗な街並みを見てまわる事にした。
 まだ亀裂が入っていない地面や花壇。声を張り上げて物を売っている商人。活気に溢れている街風景。それが後、数十日で魔界に沈む。
(ルークがとても悲しんでましたね)
綺麗に並んでいる花壇を見下ろしながら、ルークの表情を思い浮かべた。

 
 
 
 
 
しばらくしてから、ラルゴ達が兵を引き連れてセントビナーにやってきた。
(とうとうあの子に会える!)
他の六神将に見られて怪しまれる訳にはいかないでしょうと、はな垂れを説得し、私は入り口付近をじっと見据えていた。
「!!」
入り口から一瞬赤毛が見えて、私の胸が高鳴った。
(あの子だ!)
直ぐに彼の元へ行きたぃ衝動を抑え、私は彼が泊まる宿屋へ向かった。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 はな垂れを撒いた私は、夜寝静まった頃を見計らって、外へ出た。
「大丈夫ですか?」
「っ!?」
ソイルの木にもたれ掛かって俯いて居る彼に私は優しく声を掛けた。ビクリと肩を震わせながら彼は顔を上げた。
「!眼鏡?」
まるで被験者の様な口調で彼は訝しい表情で私を睨んだ。
「いえ、私は貴方の知っている眼鏡ではありませんよ」
私は優しい声のままゆっくりと、まだ警戒している彼に近づいた。
「やっと会えた、ルーク」
そしてそっと彼を抱き締めた。
「っ!!なにしやがる!?」
驚いた彼は一瞬固まった後、バタバタと暴れだす。
「なにって抱き締めてますが」
ぎゅっと力を入れて動きを押さえながら私は答えた。
「んな事わかってるっつーの!なんで抱き締めてるか聞いてるんだよ!」
押さえつけられても彼はめげずに身体を揺らした。
「貴方に会えて嬉しいからですよ。存在を確かめたいんです」
私は少し力を抜いて、顔を上げて彼を見つめた。
「っ!!」
彼は私の顔を見て吃驚して目を見開いていた。
私は本当に嬉しい顔になっているのだろう。皮肉な表情しか覚えのないだろうルークが驚くのも仕方がない。
「な・・・んで」
微かに聞き取れる声でルークはたずねて来た。
「ずっと前から貴方に惹かれています。貴方が愛しい」
私は優しく微笑みながら、背中に回していた手を彼の頬に当てて撫でた。
「っ!!」
「おや?照れてるんですか?」
ボンッと効果音が鳴りそうな程、顔を一瞬にして真っ赤にさせた。
「て、照れてぬぇー!!つーか放しやがれ!」
クスリと笑って言った私に、ルークは頬を膨らまして腕を振り上げて暴れだした。
「はいはい。そろそろ戻らないと、保護者が気づいて騒ぎだしそうですしね」
私はルークの腕を軽く避けながら身体を引いた。
「では、またお会いしましょう」
「あっ」
にっこりと彼の知るジェイドと同じ笑みを向けてから、踵を返した私をルークが呼び止めた。
「なんでしょう?」
「そのっ・・・な、名前!教えろよ」
振り返った私に、ルークは慌てた様にたずねて来た。思わず引き留めてしまて事に動揺しているらしい。
「私もジェイドですよ」
「え?」
驚いているルークにクスリと不適な笑みを見せ、私はその場を去った。
 

 本当はレプリカや、ヴァンの事を話して連れ去りたかった。
(でも、今はまだ彼の中のヴァンに勝てない)
アレよりも信頼を得なければ、彼は私の元へ来ない。

 
 
 ルーク、今度こそ貴方との未来を掴み取ります。
 だから、また貴方の心を奪いますから覚悟してて下さいね。

 
 
 
 
 
~あとがき~
 他の逆行終わっていないのに、またやらかしてすみません。
 ジェイド逆行とレプジェどっちもやってみたかったんで、混ぜちゃいました←
 続き考えてないので、短編って事で。 
 
 
 

20 . August
衝撃の告白を受け、俺は一睡も出来ずに今日になってしまった。
「いや~、さわやかな朝ですね~」
「!!」
ホテルのロビーでボケッと立ち尽くしていた俺の隣に、胡散臭い何時も通りの笑顔をしたジェイドが現れた。
「おや、アッシュ。凄い隈ですよ」
「っ!!」
アンタがソレを言うのか!!
俺は口に出さずギッとジェイドを睨んだ。
「それでいいんですよ」
クスリとジェイドは笑うと、ゾロゾロと集まってきた仲間のところへ歩いていった。
「・・・はぁ~」
”アッシュ”になっても表情や考えが筒抜けで、調子を戻せる言葉をサラッと言う。
「なんで一緒なのかな」
俺の良く知るアイツと今のジェイドは別人なのは分かっているのだけど、どうしても重なる部分が有る。
「一緒じゃなければこんなに戸惑う事もなかったのに」
結局また貴方を悲しませてしまう。
「・・・ごめん」
絶対聞こえない小声で、俺は俯いてジェイドの背中に謝った。
 
 
 
 
 
 
 
 
アブソーブゲートに着いて以前の事利用して上手くパーティーを分断させないで、ヴァン師匠のところまでたどり着いた。
「来たかルーク。それに・・・レプリカも一緒か」
パイプオルガンを弾いていたヴァン師匠が振り向いてルークと俺を見た。
「俺は、ずっとアンタに憧れていた。だから弟子として道を外したアンタを倒す!!」 
「道を外した?外さなければ預言通りに進み、この世界は消滅するだけ。私はそれを止めようとしているだけだ」
剣を抜いてヴァン師匠に向けたルークに、師匠はフッと笑ってルークに手を出した。
「止めるのに被験者達を全滅させるなんて間違っている!」
「レプリカの貴様がそれを言うのか」
俺の言葉に師匠はギロリと睨み付けてきた。
「レプリカだから言うんです!俺やイオンやシンクみたいな悲しいレプリカなんかいらない!!」
キッパリと俺は言い切ると、剣を抜いてルークと一緒に師匠へ向かって駆け出した。
 
 
 
 
 


ドッ

 
「ぐっ」
「地殻には落とさせない」
フラフラと後退して、地殻へと落ちようとした師匠の背後へ回った俺は、持っていた剣で背中を刺した。
「…最後まで…お前は私の邪魔をする…のだな」
「貴方の計画はなんとしてでも止めなければならないんです」
貫かれた師匠は、吐血しながら忌々しく呟いた。俺は眉を寄せ、ぎゅっと瞳を瞑って答えた。
「ホドの同志達よすまない」
剣を抜かれた拍子に前に倒れ込みながら、師匠は呟いた。
「兄さん!!」
「師匠!」
倒れた師匠の所へルークとティアが慌てて駆け寄ったが、すでにもう帰らぬ人になっていた。
「アッシュ、何故!?」
師匠を見送ってからパッセージリングへと向かおうと踵を返したが、ティアが膝をついて泣き叫ぶ様に問い掛けた。
「地殻にはローレライがいる。大譜歌を知っているヴァンを行かせる訳にはいかない」
「「「!!」」」
答えに全員驚愕の表情をして俺をを見た。
「それより今はパッセージリングの操作が先だ」
俺はそれだけ言うと驚いているメンバーを置いて歩き出した。


 
 
「さあ、ルーク最後の仕上げですよ」
「ああ」
全員パッセージリングに辿り着き、ルークが両手を掲げ超振動を発動させた。
「くっ」
「一人の力では足りないか」
苦悶の表情を見せるルークを見て、俺はフォローする為に隣へと行った。
「何を」
「そのまま続けろ」
ギロリと睨んで来たルークを無視して、俺は相手に合わせる様に超振動を発動させた。

「正常に作動したようですね。これで外殻大地は無事に降下します」
ルークと俺の力が全てのパッセージリングに伝わったのを、画面で確認してからジェイドが言った。
「おい、その・・・」
「礼はいらない。俺は当然の事をやったまでだ」
言いづらそうに話しかけて来たルークに、俺は言いたいことを察して返した。
「なっ」
「まあまあ二人とも。アッシュ、そういう言い方はよくないぞ」
俺の態度にカチンと来たルークが言い返そうと言葉を発する前に、ガイが二人の間に割って入った。
「元々仲間ではないんだ。今回は一緒に戦ったが、敵に礼を言うのは筋違いだ」
それでも俺は言葉を止めること無く視線を逸らしたまま言い切った。
「貴様!」
 
フォン
 
「!来たか」
ルークがガイを除け俺の元へ行く前に、俺の体が光りだした。
《アッシュ・・・良くやってくれた》
「ローレライ約束だ、鍵を俺に渡してくれ」
みんなの驚きをよそに、俺は交信してきたローレライと会話を始めた。
《わかった・・・鍵で私を解放してくれ》
「ああ、約束する」
頷くのと同時に、目の前にローレライの鍵となる剣が現れた。
「それがローレライの鍵ですか」
皆が驚いている中、ジェイドが俺に近づいてきてローレライの鍵を観察しながら呟いた。
「しかし解放とは?」
「ローレライが地殻にいる限り、地殻振動は止まらない。だからローレライを音譜帯に還す」
「!!つまり解放しなくては再び液状化が起きて瘴気が出ると?」
俺の説明にジェイドは眼鏡を手で押し上げた。
「ああ。ローレライを解放すると同時に瘴気を浄化する。そうすれば液状化や瘴気に怯えることは無い」
安心させるようにローレライとの約束を口にして、それから今持っている剣を下に置きローレライの鍵を腰にさした。
「解放するときに貴方のリスクは無いのですか?」
「!!」
出口へと踵を返した俺に、ジェイドが問いかけた。
「やはり、それ相応のリスクを伴うのですね」
思わずピタリと歩みを止めた俺に、ジェイドは深く眉を顰めた。
「本当なのアッシュ!?」
ジェイドの言葉で復活したティアが叫んだ。
「何を驚く、俺はお前の兄にとどめを刺した奴だぞ」
俺は動揺を隠す為に前を向いたまま言った。
「其れと此れは別問題よ!ねぇ、どんなリスクを負うの!?」
ティアが俺の元へ駆け出して、腕を掴んだ。
「・・・解放してみない事には分からない」
「貴方は嘘が下手ですね。それだけ動揺をしておいて知らないはずが無い」
ティアから視線を逸らして間を空けてから答えた俺に、ジェイドが間髪入れず突っ込んだ。
「貴方はレプリカだ・・・セブンスフォニムが解放されると言う事は・・・」
「アッシュも連れて行かれちゃうって事!?」
珍しく言葉を濁したジェイドに、アニスがその答えをズバリと言い切った。
「なっ、何を考えてるんだ!!」
「貴様本気か!?」
ガイとルークが俺に詰め寄ってきた。
「それ以外に方法は無い」
「貴方は何故そこまで・・・」
キッパリと言い切る俺に、瞳を潤ませながらナタリアが問い掛けた。
「・・・大切な人が居る世界だからだ」
囁くような小声で質問に答えると、ティアに掴まれていた腕を振りほどいて、走り出した。
「アッシュ!」
全員が止めるように名を呼ぶが俺は足を止める事無く走り続けた。
 
 
 
初めからそのつもりでこの旅を続けていた。本当はみんなともそんなに会うつもりは無かったんだ。
今度は泣かせたくなかったから、辛い思いなんてさせたくなかったから。
それでも、俺は弱いからどうしても会いたくなった。みんなや・・・ジェイドに。
またジェイドを悲しませる事になった。本当にごめん。気持ちに応えられなくてごめん。

 
 
 

 
 
「はぁ・・・はぁ・・・」
出口まで駆け抜けて、俺は膝に手をついて荒呼吸を繰り返した。
「結局俺はみんなを悲しませてばかりだ」
ちらりと入り口を見てから、気持ちを切り替えて世界の各所に設置されたフォミクリーの破壊作業をする為歩き出した。
 
「遅いですよ!私を凍え死にさせる気ですか!!」
「!!ディスト!?」
ドンっと効果音が出そうなふんぞり返る出で立ちで、やたらでかいカイザーディストの前にディストが立っていた。
「二人乗りに改良したんですよ。陰険ジェイド達が来る前に行きますよ」
「え、一緒に回ってくれるのか?」
手伝ってくれると言ってくれたけど、まさか一緒に行動すると思わなかった。
「貴方一人で行かせたら無茶しそうですからね」
ガシリと逃げない様に俺の腕をしっかり掴むと、グイグイとカイザーディストの中へと引っ張っていく。
「有難う」
「言ったでしょう、貴方には見守る責任が有るのですよ」
お礼を言った俺に、ディストは少し頬を赤らめながら顔を逸らした。

 
 
 
 
 
 
 
 
 
「くそ、遅かったか」
アッシュが走り去った後、全員で後を追うもの、間一髪で彼を逃してしまった。
荒い息を吐きながら、ルークが出口の岩を叩いた。
「アレはディストの譜業です。おそらくアッシュは世界に有るフォミクリーを破壊しに行ったのでしょう」
冷静に判断して口に出しながら、次への策を練るために頭をフル回転させた。
「フォミクリーを破壊し終えたら、ローレライを解放する為に再び此処へ来るかもしれません」
「でしたらこのまま此処で待ち伏せした方がいいですね」
答えを出した私にティアが提案してきた。
「そうですね。我々は何処にフォミクリーが有るか知りません。闇雲に探してもアッシュは見つからないでしょう」
「ただ待っている事しか出来ないのか」
ガイが悔しそうな表情で強く拳を握って、震わせていた。
「ケテルベルグで物資調達をして、再び此処に来ましょう」
表情や行動で示せるガイを、内心羨ましく思いながら、私は今出来る事を口にした。
 
しかし、ナタリアへ答えた“大切な人”とは誰なのでしょうか?
私に似てる人物はもう居ないと彼は答えた。
ならば一体誰の為に死に急いでいるのでしょう?
 
「大佐~?」
立ち止まったままでいる私に、アニスが近づいてきて声を掛けた。
「ああ、すみません。行きましょう」
にこりと笑い掛けると、先を進んでいるルーク達の後を追った。
誰かも分からない相手に嫉妬している自分に蓋をして・・・。

 
 
 
 
 
 
 
 
~なかがき~
数ヶ月ぶりの逆行シリーズ第一弾の更新です;;
終わり方をいろいろ考えていたら全く話が進まなくなってました;;
ぁ、ディストが出張ってすみません。どマイナーですがDL好きなんです←

次で終わればな~と、思います。
25 . June
※注意※
ED後提造設定です。
私の個人的な考えですが、最後に現れた彼は、ルークでもアッシュでも無く、10年間と7年間の【ルーク・フォン・ファブレ】の記憶を持った完全体だと思ってます。
コンタミで融合されてしまったからには、どちらともいえないと思うんです。
でも、スターの発言からすると、思考は被験者が優先されるみたいなので、口調はアッシュです。
上記の考えが許せる方のみ、スクロールして下さい。
 
 

 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 

 
 
 
 
戦いの終焉をむかえてから、2年の月日が経ち、月光を浴びながら【ルーク・フォン・ファブレ】は我々の前に姿を現した。
全員が【彼】に歓喜の表情で走り寄る中、私は冷静な表情で、ゆっくりと彼らの後を追った。
 
束の間の喜びを浮かべていたメンバーだったが、一人の疑問によって打ち消された。
その答えを知る私が、漸くその場に追いつき、全員の視線が注がれたのを確認して、説明すべく口を開いた。
完全同位体である被験者と複製品の末路を・・・。

「つまり、【彼】はルークの記憶を持ったアッシュということです」
全てを話し終え、周りを見渡すと、ティアは涙を拭う事無く泣き続け、アニスはトクナガを抱きしめて涙を流す、ナタリアは複雑そうな表情で【彼】を見ていた。
「ルークはコイツに殺されたのか?」
「ガイ!?」
ガイは【彼】の胸倉を掴み、もう片方の手は拳を強く握っていた。ナタリアが慌てて、胸倉を掴んでいる腕を押さえた。
「乖離の進んでいたルークはローレライの解放によって、本来なら音譜帯へと向かうはずでした。しかし大爆発によって、ルークのフォニムはアッシュの身体へ吸収された。ですから【彼】が殺したわけではありません」
女性陣が慌てる中、私は淡々と説明をした。
「くそ!」
ガイも本当は先ほどの私の説明で分かっているはず。それでも何かに当たらないと気がすまないのだろう。
「夜の渓谷は危険です。アルビオールに戻りましょう」
 
 
アルビオールでバチカルに向かっている中、誰とも話すこと無く、外をじっと眺めている【彼】に、私はある事を確認する為に話しかけた。
「念のために貴方に聞きたい事が有ります」
「なんだ」
私の声にピクリと反応を返すが、【彼】は外を見つめたまま堅い声で反応を返した。
「貴方の中に、レプリカルークの記憶は存在していますか?」
その声にアッシュを思い出し、眉を寄せてから、眼鏡をおさえた。
「!!さっき全員にそう説明したのはテメーだろ」
予想外の質問に【彼】は怪訝そうな表情をして、窓越しに私を睨んだ。
「そうでしたね」
「・・・結果が分かっている事をアンタが確認するなんて珍しいな」
苦笑で返した私に、不思議そうな声が返ってきた。
「そうですね。私は毒されているみたいなんですよ。・・・もしもの可能性を信じてみたくなったんです」
あえて誰に毒されたのか言う必要はないでしょう。
「・・・」
私の無言の問いに、【彼】も無言で返して来た。
「聞きたかった事はそれだけです。失礼しますよ」
これ以上此処にいても意味がないと判断した私は、振り帰らず自分の席へ戻った。




 
バチカルに着き、まだ心に蟠りを残したまま、全員一度インゴベルト陛下の元に向かった。
驚愕の表情を見せる、陛下とファブレ公爵に、私は再び大爆発についての説明をした。

話し込んですっかり夜中になってしまい、陛下の好意で城内に泊まる事になった。
しかし、直ぐに寝付ける訳もなく、私はテラスに出た。


頭の中では淡々と説明した様に理解していたはずだった。それでも、心は認めようとしていなかった。まだ可能性は残されているのではないかと。
「しかし、それも終わった」
【彼】から決定的な言葉を返された今、漸く頭と心の距離が無くなった、無くなってしまった。
「貴方はもう私の前には現れないのですね」
夜空に浮かぶ七番目の音譜帯を見上げながら呟いた。
 

ポタ
 
「おや?雨ですかね?」
頬に滴が流れ、私はそれを手のひらで拭った。再び見上げると星空が広がっている。
「ああ、私は泣いているのか」
疑問の答えを口にして、私はフッと笑った。
私は人の死が理解できた様です。それなのに、それを伝えたい貴方がいない。
 

 
きっとこんなになるのは、貴方にだけ。もう、この感情を誰かに伝える事は無い。
 
 
 
 
~あとがき~
不完全燃焼です。上手くジェイドの葛藤が文章に出来ません。
久しぶりに悲恋・死にネタをやってみたのは、アビステキストサーチさまつくられた「逆行ユグドラシル」をプレーしているからです。
アレは号泣モノです!バット・グット・トゥルー全てのエンドで泣けます!皆様の文才が羨ましい限りです。
買ってよかった!!

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